お客様への対応をおこなう仕事は、接客やサービスといったさまざまな言葉で表されます。
しかしこれらの意味はすべて同じではなく、それぞれが異なった意味を持ち、接客業には欠かせないもの。
今回は接客とサービスの違いや、接客サービスを充実させてお客様に満足していただけるような方法について解説します。
目次
「サービス」と「接客」の意味の違いについて
サービスの意味は考えられた気遣いとオマケの2種類ある
「サービス」は原則お客様のことを考えた気遣いをし、尽くすという意味を指します。
商品を購入してくれたお客様に対して、特別なおまけをつけたり、何割か料金をおまけしたりといった行為でもサービスと呼ばれるケースがあります。
接客はお店・商品とお客様をつなぐ役割
「接客」の意味は、言葉通りにお客様と接することで、お客様と商品・お店をつなぐ行動のこと。
聞かれたことだけに対応するのではなく、接客を通じて販売している商品や店舗を売り込み、お客様の心にその商品の付加価値を印象付けるといった役割を担っています。
売るだけの仕事と接客サービスは分けて考える
接客業の中でも、商品をただ売るだけの対応業務と、お客様の気持ちを考えて心地良い時間を過ごしていただくための接客サービスが存在します。
もちろん接客業に従事する人は、お客様の気持ちに立って接する「接客サービス」を目指しましょう。
では、一体ただ売るだけの仕事と接客サービスには、どのような違いがあるのでしょうか。
オススメ(サジェスト)する接客と売りつける接客の違い
売りたい商品をお客様にオススメする接客は「店側の都合しか考えていない、売りつけるだけの接客」と「本当に必要なものをサジェストする接客」にわかれます。
「コレを売ったら利益が高くなるから」「材料が余っているから」といった店側の都合だけで、売りたい商品を言葉巧みな技術でお客様に売りつけるだけの接客は、
お客様のことを考えていない押し売りでしかありません。
お客様のことを考えたサービスを
本当に相手のことを気遣った接客サービスをおこないたいなら、お客様が何を目的に来店しているのかを聞き出し、それに合った商品を紹介する「接客サービス」が必要です。
販売スタッフの仕事内容は、ただ商品を販売するだけではありません。
とはいっても、店側にも「これが売りたい」という自慢の商品がありますよね。
「お客様が求める商品」と「おすすめしたい商品」を上手くすり合わせて、
お互いが納得できる売買を成立させることも接客に求められるスキルですね。
商品を売るだけでなく高付加価値を提供する
接客サービスは「相手が欲しがっているものを売れば終わり」という考え方ではいけません。
商品が欲しいお客様に対して、その商品を用意してお金をもらうだけなら、誰にでもできる仕事みたいに見えてしまいますよね。
しかしそこに接客サービスの心地よさや、店で過ごす快適な時間といった接客の過程で作られる高付加価値を加えることで、実際より高い価値を商品に与えられるようになります。
選ばれるお店に
同じ料金で同じ商品を販売しているお店が2つあったとき、ただお金を払って商品を受け取るだけの店よりも、自分のことを考えた気持ちのいい接客サービスをしながら販売してくれる店の方が、通いたくなるものですよね。
おもてなしの気持ちを持つ
こういった「サジェストをする接客」や「商品に高付加価値を与える接客」に欠かせないのは、「おもてなしの心」です。
おもてなしの心とは、行動・精神の両方でお客様のことを考え、心地いい時間を過ごせるように気を配り、接客の対応一つひとつに心を込めるということ。
「良い時間を過ごしてもらいたい」という気持ちを込めて接客をおこなえば、きっとお客様に満足してもらえるはずです。
飲食業での接客、サービスを充実させるためにできること

飲食業の接客において、何に気をつければお客様満足してもらえるサービスを充実させ、販売促進につなげられるのでしょうか。
サービスの中にはおまけや値引きも含まれる、と説明しましたが、おまけばかりしていたら経営が成り立たなくなってしまいますよね。
接客対応でできるサービスを充実させ、お客様の満足度を上げられる方法をチェックしてみましょう。
サービス(気を配る風)に商品を押しつけるのは絶対にダメ
たとえ「気を配って接客しています!」といった態度で接客サービスをおこなっていても「自分が売りたい商品を押し付ける」という接客は絶対にしてはいけません。
お客様は案外、”するどい”もの。態度や言葉がサービス風になっていても、話しているうちに「押し売りされてるな……。」と気づくでしょう。
お客様の希望を汲み取る
せっかく買い物に来たのにいらないものを買わされて、自分の欲しいものが買えない店に魅力を感じませんよね。商品をおすすめする時は、お客様の希望・目的に沿ったものの中から、一番おすすめしたいものを厳選して紹介しましょう。
お客様が求めていることを知る
接客の場においてもっとも重要なのは「お客様が何を求めているか」を明確にすることです。
料理をおすすめする場合、3時頃のカフェタイムに入ってきたビジネスマンにフルコースをすすめたり、部活帰りの男子高校生にコーヒーをサービスしたりというのは間違っていますよね。
商品をすすめる時は相手のことをよく観察し、行動や言葉でその人がどんな状況で、何を求めているのかを分析しましょう。
そういったことも踏まえてサジェスト・接客すると、お客様は喜ばれ、継続して利用していただけるファンとなります。
接遇を踏まえた接客サービスを実践する
お客様は特別であり、大切な方ですという気持ちを込める「接遇」。
上質な接客サービスを提供するには、この接遇を踏まえた対応を意識しましょう。
接遇を考えた接客はホスピタリティの向上につながり、「おもてなしの心」を持つきっかけとなります。お客様の声をしっかりと聞き、どんな対応したら喜ぶか、満足していただけるかを考えてワンランク上の接客を目指しましょう。
期待を上回る接客をする
お客様が予想する接客よりも上質な接客サービスを提供するのも、サービスを充実させるために有効な方法です。
まるで自分のことを良く知っているかのように、自分の希望に合ったものを紹介してくれたり、予想していた対応より上回る接客をスタッフから受けたりするとお客様は「自分はこの店の特別な存在なのだ」と感じることでしょう。
お客様にとって特別な存在に
そうすることで「あそこのお店は素敵な店員さんがいるから、何かの時には積極的に利用しよう」という意識が生まれ、お互いが気持よく関わり合える関係になっていきます。
まとめ

接客とサービスの違いについてご理解いただけましたでしょうか?
- 「サービス」はお客様に対して心を配り、尽くすという行為
- 「接客」は直接お客様に接して商品・店・お客様の繋がりを作る行為
- 上質な接客サービスを行うには、相手の気持ちを考えて心を配る「おもてなしの心」が重要
お客様が満足できる接客サービスの中に、サービスや接客、ホスピタリティといったさまざまな言葉の意味が含まれ、それらが上手に絡み合うことで成立しています。
お客様にサービスを求められた時には安易な値引きやおまけといった分かりやすい対応だけでなく、自分の接客スキルで満足していただけるような「接客サービス」の提供をできるようにキャリアを積み、日ごろからお客様のことを考えた接客をこころがけましょう。