これから飲食業界で働く方にとって、接客は最初にマスターしたいもの。しかし何に気をつけたらいいのか、よくわかりませんよね。
この記事では、接客の心得について徹底解説します。接客の心得を頭にいれて、丁寧な接客ができるように心がけましょう。
目次
接客の心得とは?
NPO法人日本サービスマナー協会が掲載している「接客の心得」をもとに、接客の心得10か条を解説します。
常に笑顔で
笑顔での接客は、基本中の基本。
残業終わりでお疲れのお客様が、あなたの笑顔を見て「癒される」「明日も頑張ろう!」と思ってくれるかもしれません。
どんなにお店が忙しい時でも、見られている存在であることを忘れずに、フロアに出ている時は笑顔を絶やさないようにしましょう。
身だしなみを整えて
シミだらけの汚れたユニフォームを着て、髪もボサボサ、爪も伸び放題、香水の匂いもプンプン……。
そんな店員がいると、店舗の雰囲気も悪くなってしまいますよね
「料理は味が一番!」とよくいいますが、働いているスタッフの身だしなみも、料理の価値を大きく左右させます。
香水や柔軟剤の匂いが強いと、料理の香りや食欲の妨げになるので控えましょう。飲食業界では「清潔感第一」ということを忘れず、身だしなみや匂いのチェックは徹底してください。
第一声を明るく、さわやかに
お店に入って最初に聞く、「いらっしゃいませ」の声に元気がないと、お店の印象も悪くなってしまいます。
声の出し方ひとつで印象は変わるので、明るく元気な声で、ハキハキとした挨拶をしましょう。
携帯の録音機能などを使い、自主練習をしてみてはいかがでしょうか。自分の声を客観的に聞けるので、改善点が見えてきます。
姿勢を正して
姿勢を正すことのメリットは2つあります。
1つめは、お客様から好印象を抱いてもらえること。
背筋をまっすぐと伸ばすことで、自然と目に力が入ります。目力があると接客中のトークにも自然と吸い込まれていくので、サジェスト(提案)がしやすくなるでしょう。
2つめは、動作をサポートしてくれること。
姿勢が良いとお腹の底から声を出せるので、声が非常に良く通ります。
姿勢ひとつ正すだけで、きりっとした佇まいや真面目な印象が強くなり、美しさを引き出せます。
背筋を伸ばすことを意識して、接客をおこないましょう。
感情をこめて、丁寧に対応する
雨の日にご来店くださったお客様に対して、「雨の中、わざわざ来てくれてありがとう」という気持ちを込めて接客すると、自然と口調も柔らかく、対応も丁寧になります。
料理提供が遅くなって大変申し訳ないと感じながら接客する場合でも、申し訳ないという気持ちから、遅れを挽回していくためにお客様をケアしますよね。
覚えることが多くや忙しさに追われがちな飲食店業界だからこそ、細かい動作に気を配り
丁寧な接客を目指しましょう。
お客様の話をしっかりと聴く
お客様の話をしっかりと聴くのは、どんなシチュエーションでも大切なこと。
オーダーを取る時は、聞き間違いや漏れのないようしっかりと耳を傾け、復唱してダブルチェックも忘れずにしましょう。
接客中にお客様の話を途中で遮り、自分の流れに持っていくことは好ましくありません。会話中は、お客様の話にしっかりと相槌を打ち、話を盛り上げてコミュニケーションをとることも、接客テクニックです。
ゆっくりと聞き取りやすい声で話す
ゆっくりと相手が聞き取りやすい声・スピードで話すことも、ポイントのひとつ。
早口でサジェストされると、印象に残らないだけでなく、その商品に魅力を感じなくなってしまいます。ゆっくりとわかりやすく、声色や抑揚をつけてユニークな提案やおすすめができれば、印象に残り興味を持ってもらえるでしょう。
正しい言葉遣いではっきり簡潔に話す
お客様に無理なお願いをされた場合、そっけなく「できません」と回答してはいけません。
また、なぜできないのかを長々と説明したり、曖昧な返事をしたりすると、事態が悪化してしまうでしょう。
「少々お待ちください」や「担当者に確認します」など、状況に応じた適切な言葉を選び簡潔に話すことが大切です。
所作を美しく
メニューを指さすときは、5本の指を揃えて指し示しましょう。人差し指1本で指してはいけません。
さらに料理を配膳する際は、音を立てないようにそっと置きます。お皿を置く時はテーブルとお皿の接地面に小指を挟んだり、トレーであれば若干の差を持たせて片側から静かに置いたりなど、少しの工夫で改善できます。
とはいえ飲食業は、いろいろな形態のお店があるのも事実。
そのお店の雰囲気にあった「美しさ」を追求していきましょう。
感謝の気持ちを伝える
接客に限らず、感謝の気持ちを伝えるのは大切です。
お客様がご来店された時、ご注文を頂いた時、お帰りになる時、他のスタッフから助けてもらった時、感謝の気持ちを素直に伝えましょう。
お店のメニューを知る!

飲食の現場で必ず聞かれるのが、商品に関する質問。マニュアルをしっかり読み、お客様をしっかりとサポートできるよう、メニューを熟知して完璧なアドバイザーを目指しましょう。
料金はいくら?
メインメニューに付けられるセットと価格。ランチタイム限定や単品メニュー。料理のカスタマイズなど、お店のルールや対応可能範囲を覚えておくと、お客様に聞かれたときにすぐ案内できます。
どんな味がするの?
新商品が発売された時によく聞かれるのが、味や食感、食材などの情報です。
時間があるときに味見をして、「ちょっとピリ辛ですね」「やわらかくておいしいですよ」などと、お客様にわかりやすくご紹介できるよう準備しておきましょう。
何が入っているの?
アレルギーをお持ちのお客様に聞かれるケースが多いです。
正確に伝えなければならないので、少しでもわからない場合は一度キッチンスタッフに聞いたり、マネージャーに聞いたりして、必ず確認をとりましょう。
その他に、「100%国産牛」など、そのお店が掲げている「推しポイント」があれば、一緒にご案内できるといいですね。
セットは何があるの?
セットメニューの種類が充実していると、選ぶ幅が広くお客様にとっては嬉しいポイントです。しかし従業員からみると、覚えることが多く、間違ったことは言えません。
ファーストフード店であれば、サイドメニューがポテトなのか、サラダなのか、ドリンクのサイズはS・M・Lどれなのかなど。セットには何が含まれていて、どれがセット対象商品で、どこから選ぶのかなど、スムーズにご案内できるよう、セットの条件をしっかりと把握しておきましょう。
新人の頃はよく失敗したな……経験したからわかるよくある失敗談
失敗は誰にでもありますが、その後の対応が大切です。失敗例と解決策をしっかり読んで、もし失敗してしまった時のために備えましょう。
エピソード1
ご注文の品をお席まで運ぶ途中でお客様とぶつかってしまい、ドリンクがひっくり返ってお客様の洋服にかけてしまった!
そんな時はこうしよう!
以下の手順が対応方法の一つ。もちろん状況に応じてご対応する必要はありますが、基本的な流れを覚えて応用につなげていきましょう。
- お客様にお詫びの気持ちを伝える
- タオルや紙ナプキンをお渡しする
- お手洗いにご案内する
- こぼれたドリンクや料理を片づける
- 新しい料理を作るよう、キッチンにお願いする
他のお客様の安全を確保するためにも、スピーディーな対応が求められるので、できれば他のスタッフにも手伝ってもらいましょう。
洋服のクリーニング代をお店が負担する可能性もあるので、必ず現場責任者に報告・相談をおこない、対応してもらうことを忘れずに。
エピソード2
会計時にお預かりした金額と違う額を打ってしまい、渡すべきお釣りが100円少なかった!しかもそのミスに、お客様が帰られてから気付いた……。
そんな時はこうしよう!
打ち間違いの場合は、電卓を利用して、正確なお釣りをお渡ししましょう。電卓の画面をお客様にお見せし、ダブルチェックしながら計算していくと、お客様にも安心してもらえますね。
もしお客様が帰られた後に、渡し間違いに気づいた場合、できればそのお会計のレシートをリプリントして保管し、何を間違えたのかを簡潔にメモしておきましょう。
後日お客様がお釣りの件で尋ねて来られた場合に備えて、共有事項として全従業員に伝え、お店側がスムーズに対応できるよう対策をとっておくといいですね。
その際は、現場責任者に報告するのを忘れずに。
エピソード3
ハンバーガーを作る時に、中身を乗せる順番を間違えてしまった……。
そんな時はこうしよう!
調理手順は、商品を美味しく作るために設計されたものです。手順を間違えれば、味、食感、見た目に影響がでてしまい、場合によっては食べにくい商品が完成してしまうことも。
間違いに気付いた時は、すぐに新しく作り直しましょう。
作り直しに時間がかかるようであれば、お客様にお時間をいただく旨をフロアスタッフに伝えてもらいます。
現場責任者に、手順違いでロスが出たことを報告することも忘れずに。
わからないことがあればすぐに聞こう!
新人のうちはわからないことが「当然」です。
自分では対応できない場合、お客様へ「わかる者に代わりますので、少々お待ちください。」とお詫びをして、他のスタッフに対応してもらいましょう。そしてあらためてどのように対応すべきだったのかを、再度確認するのも忘れずに。
「わからないから教えて欲しい」と素直に言えることは、新しいことを吸収できるチャンス。
新人のうちに沢山質問して、自分が教える立場になる前に解決しておきましょう。
まとめ

接客の心得から、ミスをしてしまった時の対応までをご紹介しました。
接客はサービス業であるため、お客様に満足してもらう「おもてなしの心」が大切です。
- 接客で大切なのは「清楚・元気・笑顔・感謝」!
- メニューを熟知すること=お客様の食体験をサポートすること
- 失敗は成功のもと。失敗から学んでステップアップ!
この3つのポイントを意識して、接客スキルを高めていきましょう。