世の中にはさまざまな検定がありますが、飲食業やその他サービス業で重要視される接客マナーも例外ではありません。
接客業を目指す学生は資格検定や試験を活用して、就活の場をより優位にしていきましょう。
また資格を取得するための勉強は、接客サービスを学んだり、見直したりできるいい機会です。
実際に現場で接客をおこなっている人でも、スキルアップにつながるのではないでしょうか。
今回は接客業に役立ち、就活の場でも注目を集める4つの資格試験をご紹介します。
接客サービスマナー検定
NPO法人の日本サービスマナー協会が実施している「接客サービスマナー検定」は、接客業に携わる人に必要な知識やマナー、立ち振る舞いなどを身につけられる検定試験です。
この試験では電話対応やクレーム対応、正しい敬語などの基本的な知識から、ビジネスマナー、外国人客への応対など接客サービスに求められる知識・技術全てが出題範囲に含まれています。
どんな立場の人にもおすすめ
現役で活躍している飲食業界勤務の方はもちろん、アルバイトを始めたばかりの学生や新入社員に方が仕事の知識を得るために挑戦するのもオススメです。
高度な接客技術を身につけられれば、より一層職場で活躍でき、昇進や昇給のチャンスも大きくなるでしょう。
就職でのアピールポイントとしても役立つため、就活前、学生のうちに取得する方も増えているようです。
日本サービスマナー協会では、検定の他に講師養成講座や、認定資格の講座も開催しているので、参加してみるものいいですね。
検定料
接客サービスマナー検定の検定料は、3級からはじまり2級、準1級、1級と級があがるにしたがって、価格が変わります。詳しい料金は以下の通りです。
- 3級…5,000円
- 2級…7,000円
- 準1級…9,000円
- 1級…12,000円
日程
開催2月、5月、8月、11月の年4回。
いずれも試験日3ヶ月前から申し込みが始まり、試験後3週間程度で結果が通知されます。
試験方法
接客サービスマナー検定は、筆記試験と実技試験の2形態で試験をおこないます。
筆記試験は3級から1級まで全ての試験にありますが、実技試験は準1級、1級のみです。
合格基準
接客サービスマナー検定の合否基準については級によって違います。
- 3級…100点満点の筆記試験で70点前後
- 2級…100点満点の筆記試験で60〜65点前後
- 準1級…100点満点の筆記試験で60〜65点前後およびグループ面接、シチュエーション実技合計ポイント60%以上
- 1級…100点満点の筆記試験で75点前後および個人面接、ロールプレイング実技合計ポイント60%以上
接客心理検定
接客心理とは、心理学の知識を接客テクニックに取り入れ、お客様により良いサービスと接客を提供する技法を指します。
接客心理検定は、接客の質を高める「情報とコミュニケーション論」や心理学的な接客テクニックを学ぶ「接客コミュニケーション論」など、接客と人間心理を習得するための理論から試験が作られています。
お客様の心理を学ぶ
接客心理検定を受験することで、今までマニュアルに沿っておこなっていた接客に人の心理を取り入れられ、より密接にお客様と関われるようになります。
こういった接客心理の知識は、お客様の希望をいち早く察知して食事やドリンクを提供する飲食業には欠かせません。
接客心理を極めればお客様の気持ちを読み解いて、気持ちよく食事を楽しんで頂くと同時に、店が本当に売り込みたい料理や商品を上手くアピールできるようになるでしょう。
検定料
接客心理検定の検定料は、受験する級によって以下のように異なります。
- 3級…3,500円
- 2級…7,000円(筆記3,000円・実技4,000円)
- 1級…10,000円
日程
接客心理検定は3月、7月、12月の1年に3回開催していますが、級によって受けられる月が変わります。
3級試験は3回とも実施していますが、2級は7月と12月、1級は3月のみです。
試験方法
試験方法は、マークシート式・記述式の筆記試験と実技試験です。
各級の試験方法は以下の通りです。
- 3級…70分のマークシート式筆記試験
- 2級…60分のマークシート式および記述式筆記・30分の実技試験
- 1級…60分のマークシート式および記述式筆記・20分の実技試験
合否基準
接客心理検定は比較的新しい検定のためか、合格ラインなどの情報はまだ確認できませんでした。
公式サイトによると、3級の合格率は80%、2級は50%、1級は20%とあるので、3級は比較的難易度の低い試験ではないかと予測できます。
レストランサービス技能検定

レストランサービスマナー検定は日本ホテル・レストランサービス技能協会が実施する検定試験で、厚生労働省が認めた国家資格のひとつです。
この検定の合格者は、国家資格「レストランサービス技能士」を手に入れることができます。
レストランサービスに特化した検定
レストランサービス技能検定はレストランや飲食点で働くウェイター・ウェイトレスといった「食事やドリンクを提供する立場」の知識・技能を試す内容に特化しています。
受験やそのために勉強を通して接客で重要な知識や、お客様に満足していただける技術を基礎から学び直すことができるでしょう。
そういった知識・技術は現役で働いている人にとって、その後の仕事に対する意識ややりがいが増すだけではなく会社に認められ、洗練された接客や後輩への指導でキャリアアップも期待できるのではないでしょうか。
国家資格を武器に
国家資格であるレストランサービス技能検定はサービス業・飲食業では高く評価される傾向にあるため、就職を目指す学生にとっても、強い武器となります。
日本の「おもてなし精神」は、今や多くの外国人を驚かせ感心させる日本の自慢できる文化のひとつ。その最前線に立つ接客に関わっているので、国に認められた資格を取得して接客のプロフェッショナルを目指してみてはいかがでしょうか。
検定料
レストランサービス技能検定の検定料は学科試験と技能試験で異なります。
学科試験は1級から3級まで共通で6,500円です。
技能試験は級によって変わり、以下の通りです。
- 3級…8,000円
- 2級…10,500円
- 1級…23,500円
日程
レストランサービス技能検定は年1回、8月に開催されます。
申し込み期間は5〜6月の間で、結果の通知時期は未定となっています。
試験方法
試験は筆記試験と実際にレストランサービスの作業を行う実地試験にわかれています。
合格基準
1~3級すべての検定において、筆記実技共に60点以上を合否基準と定められています。
英語応対能力検定
英語応対能力検定は、外国人のお客様に対しておもてなしの心を持って接客するため、基本的な聞く・話す能力を身につけるための検定です。
検定には、販売・飲食・鉄道・タクシー・宿泊・一般という6種類の試験があるので、自分の業種に適した内容を選びましょう。
外国人のお客様にも最高の接客を!
観光や仕事で日本に訪れる外国人は年々増加し、接客の場で外国語を使わなければならないシーンも増えてきました。
外国人のお客様であっても、日本人のお客様と同等の接客サービスを行うのは接客業に従事する人間にとっては当然のこと。
お客様に満足して頂くためには英語応対力が今後の接客業界で大きな要素となっていくでしょう。
一目置かれる存在に
英語応対能力検定では難しい言い回しや文法を学ぶわけではありません。
ここで学ぶのは、あくまでわかりやすく外国人のお客様に対して接客するための英語力。そのため、もともと英語が苦手…という方でも始めやすい検定といえるでしょう。
この検定を取得しておけば、外国人観光客がよく訪れる地域や、ビジネス街などでも英語を用いた接客を持って最前線で活躍できるようになります。
外国人のお客様が多い店舗で勤めている方にもピッタリですね。英語でスムーズに接客できると、働く店舗でも一目置かれる存在になるでしょう。
検定料
英語対応能力の検定料は1種類6,500円です。
日程
英語応対能力検定はインターネット環境がある場所なら自宅からでも受験できる検定のため、特定の試験日はありません。
年に2回、A日程とB日程という1ヶ月程度の試験期間が設けられるので、その期間中の都合がいい日に受験しましょう。それぞれの日程に受験するには、事前に申し込みが必要です。
試験方法
試験方法はパソコン・スマホ・タブレットを用いたiBT試験です。
インターネット通信が可能な機種があれば自宅で受験できる形式で、機器を通して筆記・リスニング・リーディング試験をおこないます。
合否基準
英語応対能力検定には合否はありません。
検定の結果はAからDまでの4段階評価によって表され、どこがどう評価されたか、苦手分野はどこかなどのアドバイスが記載された結果レポートとして受け取ります。
まとめ

接客に関する検定は、受験することで接客スキルがあることの証明になるだけでなく、その過程の勉強によって接客スキルを高められます。
今回ご紹介した検定なら、勉強を続け検定に挑戦すれば以下のようなスキルを身につけられるでしょう。
- 接客技術やサービス業全体のスキルを磨きたいなら「接客サービスマナー検定」・「レストランサービス技能検定」
- より高度でお客様の気持ちに沿った接客を身につけるなら「接客心理検定」
- 英語力を身につけ外国人のお客様へのおもてなしに特化するなら「英語応対能力検定」
目標なく勉強を重ねるより結果が出る試験を目標にした方が、勉強に対するモチベーションの高まるのではないでしょうか。
自分の働いている環境や立場、身につけたいことが定まったら、自分のレベルに合わせて接客検定に挑戦してみましょう。