「お金を稼ぎたい!」「社会人になる前の経験!」などのきっかけで、一番身近な飲食店のホールスタッフのアルバイトに挑戦する人も多いのではないでしょうか。
しかし実際には、初めてのアルバイトで接客とは何か、仕事を上手にこなすコツは何かなど、仕事に戸惑う場面もあるのではないでしょうか。接客は形のある商品ではなく、サービスであるため不安な人も……。
そこで今回は、業務内容と接客のポイントを徹底解説していきます。
目次
接客はスキルになり、貴重な経験になる
接客は料理を提供したり、席に案内したりするだけでなく、料理の価値を上げる技術です。
同じ料理を提供しても、そこに加わった接客ひとつで、何倍も何百倍も料理を美味しく仕上げられます。
ホールスタッフの仕事を通してさまざまな人と出会い、自分自身の視野を広げることで、自己の成長へと繋げられます。そして何より、接客業はお客様の喜びを自分の肌で感じられます。
お金では買えない喜びや達成感、考え方などはあなたにとって一生使えるスキルであり、宝になることでしょう!
フローにそって解説!接客業務の流れとは

ファーストフード店の場合
1.ご来店
元気な挨拶と笑顔でお迎えし、ご注文がお決まりの方から注文カウンターへとご案内。
混んでいる時間帯には、お客様に順番にお並びいただくよう誘導します。
事前に列でお待ちのお客様にメニューをお配りしておくと、効率が上がっていいですね。
2.ご注文
新商品や期間限定の商品などがあればご紹介し、お客様が決め兼ねている様子であれば、オススメの商品などをご紹介するのもスムーズに誘導するコツ。
初来店の方もいるので、最初にお店のシステムをご案内するとより親切ですね!
ファーストフード店はスピード性を重視される面もあるので、お客様を上手く誘導し、ご注文をスムーズに受けることもポイントです。
最後にご注文内容の確認も忘れずに!
3.お会計
お会計の流れは
- 合計金額を伝える
- お客様から代金を受け取る
- お釣りをお返しする
となります。
受け取ったら必ず金額を確認し、その額をお客様に伝えます。
ここでのポイントは、
- お釣りが出ない場合は「◯◯円、 頂戴いたします」
- お釣りが出る場合は「◯◯円、お預かりいたします」
と区別して言うとわかりやすくていいですね。
ドライブスルーの場合は、お札が風で飛ばされないよう、受け取るときに手を添えましょう。
お釣りをお返しする際もお札から渡し、それからレシートの上に小銭を乗せて渡すとスムーズですね。
最後に商品の出来上がり具合を見て、お客様にカウンター側でお待ちいただく、もしくはお席でお待ちいただくかを判断してご案内します。
また、事前に確認しておきたいのが、クーポン券のご利用。
クーポン券は、お会計後に提示されたとしても、お会計をやり直せない場合があります。
あらかじめクーポン情報を確認し、お会計前にお持ちかどうかを確認できるといいですね。
4.商品の引き渡し
お渡しする際は、商品がすべて揃っているか、調味料類に漏れはないか、ドリンクの蓋はしっかりしまっているかなどの最終確認をしましょう。
お席へお持ちする場合は、他のお客様とぶつからないよう、細心の注意を払います。
お渡しする際は
「ごゆっくり召し上がりください」といった声かけができるといいですね。
またお持ち帰りの場合は、商品が斜めにならないよう、気をつけていただくようにお伝えしましょう。
居酒屋などの場合
1.ご来店
元気な挨拶と笑顔でお迎えし、ご予約が有るか、何名様かを伺います。
常連の方には、「いつもお越しいただき、ありがとうございます。」と伝えると、非常に好印象ですね。
お席へご案内途中に段差などがあれば、「お足元にご注意ください。」と声を掛けましょう。お座敷など靴を脱ぐ場合は、靴を揃えたり、靴箱に収納したりと、お店のスタイルに合わせてご案内するといいですね。
2.メニューのご案内
お客様がお席につかれたら、メニューをお渡しします。
初めてご来店いただくお客様であれば、お店のシステムやお手洗いの場所などをご案内すると親切。
もし期間限定の商品や新メニューなどがあれば、ご案内時に紹介しておくと注文していただく可能性が高くなりますね。
3.お冷、おしぼり
お冷がセルフサービスの場合は、お冷のある場所をご案内しましょう。サーブ(提供)する場合には、一人ひとりにお渡しします。
お客様の背後からサーブする際は、「後ろから失礼いたします。」と声を掛けて事故防止に努めましょう。
もし接待などのお席であれば、上座から順に渡し、デートなどのお席であれば女性から渡していきます。おしぼりの場合も同様、状況に応じて対応できると素晴らしいですね。
4.ご注文
レストランや居酒屋での注文も、ファーストフード同様、
- ご注文
- 内容の確認
という手順です。注文を受ける際は、なるべくお客様の目線よりも自分の目線を下げるといいでしょう。
目線を下げることで、お客様が話しやすい雰囲気になり、お客様への敬意を示せます。
5.商品サーブ
商品を運ぶ際は、ぶつからないように気をつけながらお席へ向かいましょう。商品をサーブ(提供)する際は必ず商品名を伝え、商品の正面がお客様の方を向くように置きます。
スープなどの熱い商品であれば、「熱くなっておりますのでお気をつけください」とお伝えします。
食べ方・飲み方にポイントなどがあれば、より美味しく召し上がっていただくためにも、ご紹介しましょう。
商品を運んだ時、テーブルに空いているお皿やグラスがあれば、お客様に確認してから下げます。運んだ商品が現在のご注文の最後の品であれば、そのことをお伝えし、オーダー(ご注文)に漏れがないかを確認します。
6.中間サービス
ホールを回りながら、お食事の状況確認をしつつ声を掛けましょう。
お冷が減っていたら注ぎ足す、取り皿が汚れていたら新しい物と交換するなどのサービスも忘れずに。
ここでのポイントは、顔を上げて周りをキョロキョロ見ているお客様は、
店員を探している可能性が高いので、様子を見てお席へ伺いましょう。
とくに海外からのお客様は、手を上げて店員を呼ぶ習慣がないので
こちらから声をかけるといいでしょう。
7.サジェスト
サジェストとは、お勧めの商品などをご紹介して、お客様にプラスもう一品お楽しみいただくこと。
お食事中の方でドリンクが空になっていれば、タイミングをみて追加のドリンクなどをお持ちするかをお伺いします。
お食事を終えられた方であれば、デザートなどのご注文を伺います。
逆に店員さんのオススメは何かと聞かれることもあるので、オススメの一品をあらかじめ考えておくといいですね。
8.アフターサービス
食後のデザートや飲み物などを「アフターサービス」といいます。
食後にお茶などを提供するお店であれば、食べ終わったタイミングを見計らってご提供します。
その際に、必要に応じておしぼりなどをお持ちするといいですね。
お食事の感想などを聞けると、今後の参考になるので、チャンスがあればぜひ聞いてみましょう。食後の時間が一番ゆっくりと会話を楽しめるので、接客に慣れてきたら挑戦してみてもいいですね。
9.お会計
お会計を頼まれたら、お席へ伝票をお持ちしましょう。レジでお会計をするお店であれば、
お会計の場所へ誘導します。接待などの場合は会計担当の方へお渡しします。
受け取った代金は必ず確認し、お金の受け渡しに間違いがないよう気をつけましょう。
もしお店のビジネスカード(お店を紹介する名詞のようなもの)などがあれば、お釣りと一緒にお渡しして次のご来店を促します。
最後に「ありがとうございます」と、ご来店の感謝の気持ちを伝えることも忘れずに。
店舗よっては、「●●のご利用、ありがとうございます」や「ありがとうございます。またのご来店お待ちしております」などお店のブランドを出す場合がありますので、他の従業員の方を真似するのがいいかもしれませんね!
イレギュラー対応
いざ現場に立つと、マニュアル通りにはいかないオペレーション以外のトラブル。
例を挙げて、対応の仕方とポイントをご紹介していきます。
渡し方が悪く、商品を受け取られた直後にひっくり返してしまった場合
ファーストフード店など、カウンター越しに商品をお渡しする際に起こりやすいケース。
このような場合、まずは何よりも先に謝罪の気持ちを伝え、お客様のお召し物が汚れていないかを確認します。
ドリンクやソースなどで汚れていたら、直ちにペーパーで拭い、お手洗いへご案内した後、現場の責任者に報告。
その後、同じ商品を大至急新しく作るよう、他のスタッフにも協力してもらいましょう。お客様にはすぐに新しい商品をお持ちする旨を伝え、お座席でお待ちいただきます。
床にドリンクがこぼれている場合には、他のお客様が滑らないようにすぐに対処することもポイント。そして商品をお渡しする際は、再度謝罪の気持ちをお伝えするとともに、お待ちいただいたことへのお礼の気持ちもお伝えしましょう。お客様がお帰りの際は、お客様の目を見ながら、お見送りすることも忘れずに。
ストローなどの付属の道具を渡し忘れてしまった
ストローを付け忘れることは、誰にでも起こり得ること。
お客様の方からストローがないと取りに来られた場合、謝罪の気持ちをお伝えしてからすぐにお渡ししましょう。包装されていないストローの場合は、飲み口になる部分や飲み物の中に入る部分は絶対に触らないように気をつけます。
お客様の座席へお持ちする場合、ストローを持つポイントに気をつけ、ストローを挿していいかを確認してから挿すようにしましょう。
包装されたストローの場合は、飲み口となる部分の包装紙を残して破り、挿してから飲み口の包装紙を取り除くと、最後までストローに手が触れることなくお渡しできます。
このような細かい気配りは、お客様にとってちょっとうれしいポイントになるケースもあります。喜んでいただけることは、従業員同士で情報共有することでお店のファンづくりにもなるので、実践していきましょう。
お客様のご注文内容を聞き取れなかった場合
居酒屋やドライブスルーのオーダーテイクの際などによくあるケース。
お客様の声が聞こえづらかった場合、ためらわずに「もう一度お願いいたします」などとお声掛けし、もう一度聞き直しましょう。
対面で伺っている場合であれば、メニューを指差しながらお客様と確認するのもひとつのコツ。
ドライブスルーの場合は、商品番号で伝えてもらうといいでしょう。
最後にお客様のご注文内容を繰り返し復唱し、間違えがないかを確認することも大切です。
接客に大切な”コツ”
接客をするうえでポイントはたくさんありますが、ここでは重要なポイントを5つご紹介します。
ホスピタリティ
ホスピタリティとは、「お客様を思う心」であり、相手の立場に立って物事を考えること。
もし自分がお客様の立場だったら、どんな風に声をかけてもらい、どう対応してもらえると嬉しいか。
これらをイメージすることが大切です。
笑顔
お店の印象はホールスタッフの表情ひとつでガラリと変わるもの。
ホールスタッフは、意外とお客様から見られていますす。フロアーに立つ際は笑顔でいることを意識し、笑顔でいられるように余裕を持って過ごしましょう。
テキパキとした対応
飲食店にはお腹を空かせたお客様が来るケースがほとんどであるため、スピードを求められ、瞬時の判断力が必要になる時もあります。
作業をご自身のフレームワークに当てはめて、優先順位を付けて効率的にこなすことも大切ですが、どのような状況でも焦らず対応できるようにすることは大切な心掛けに。
日頃からアンテナを張り巡らせ、他のスタッフから体験談などを聞き、さまざまな引き出しを用意しておきましょう。
元気
元気のある接客は、お客様をハッピーにするのに必要不可欠な要素。
お客様から呼ばれた時は、大きな声で返事をし、活気ある声を出してお店を盛り上げていきましょう!
お客様がしてほしいことを先にする
「してほしいことを先にする」というのは、お客様の気持ちになって、頼まれなくてもサービスの範囲内で先に動くことです。
ポイントは、顔を上げて周りをキョロキョロ見ているお客様は、店員を探している可能性が高いというところ。
状況を見て、数秒こちらを見ていたら、お席へお伺いしたり、お声掛けしたりすることでお客様は大きい声を出さなくて済みます。
また、食事が終わってゆっくりしている方には食後のお飲み物を提案したり、お冷やお茶などをお持ちするかお伺いするといいですね。
まとめ
接客業は、やりがいと達成感に満ち溢れた素晴らしい職業。
人を相手にした仕事内容なので、時には難しい問題に遭遇することもあるかもしれません。そういう時は、周りの仲間と協力して全力で挑むことで、解決に導けるでしょう。接客とは、お客様の幸せのサポートを務め、思い出の一部となります。
その喜びを噛み締めながら、今日も沢山の方と幸せを共有していただきたいです。